彼は誰からも映画の撮り方を学ばず監督になった人である。アートスクールにも通わず、雑誌のカメラマンをしていた事もあり、かれの映像にかける執念はすさま じかった。その貪欲なまでの探求心から「2001年宇宙の旅」では当時の最新技術を駆使した特殊効果の映像に一年もの時間を費やし、「シャイニング」ではあの恐怖の迷路の映像をNASA開発の最新カメラ“ヌテディカム”使い作り出した。その執着心から1シーンに40テイク以上撮る事が常であり、暴力シーンのために俳優の肋骨を2、3本折らせた事もあった。「アイズ・ワイド・シャット」のトム と キッドマンが鏡の前で激しくキスを交すシーンは照明のセットもいれて1週間かけてつくったというのはあまりにも有名である。また彼の映画では音楽も重要で 「時計仕掛けのオレンジ」で主人公が“雨に唄えば”を歌いながら行うレイプシーンはなんともミュージカル風で主人公が暴力を楽しく、面白いものととらえて いるのがすぐに分かる。
完璧なまでに作品をしあげる彼のスタイルは“秘密主義”“誇大妄想”等数々の 「神 話」をうみだした。彼の強烈な時代への風刺やセンセーショナルな映像の数々、冷戦と核の皮肉を描いた「博士の異常な愛情」、SF映画の金字塔「2001年 宇宙の旅」、S.キングのホラー小説の映画化「シャイニング」、戦争映画の革命「フルメタルジャケット」etc…。一体時代が彼を生んだのか?もしくは彼 が時代を創ったのか?スタンリー・キューブリック、彼の映画のなかで最も話題を呼び、最も社会を揺るがし、そして彼が最も恐れた「時計仕掛けのオレンジ」 を紹介しましょう。
No comments:
Post a Comment